【スタッフ×利用者対談】今井さん×加藤さん「”ここにいてもいい”と思える安心」

  • インタビュー

一人ひとりの思いに寄り添った個別サポートを行う「キノッピの家」では、スタッフと利用者、双方の関わりを大切にしています。

今回はホームリーダー(世話人兼管理者補佐)の今井里美さんと、キノッピの家に住む加藤春子さんとで、普段のやりとりや、お互いに大切にしている考え方、入居後の変化について語り合いました。

「繊細」と「大らか」。違うから助け合い、学び合える

お二人の出会いはいつですか?

今井: 加藤さんが入居された、2023年12月ですね。私はその年の3月からキノッピの家で働き始めました。世話人として、朝夕食を提供していましたね。

加藤:もうすぐここにきて1年になりますが、本当にあっという間でした。

キノッピの家はさまざまな出来事が起きる生活の場ですよね。これまでお二人はどのように関わってこられたんですか?

今井:目の前で起こった出来事に集中してきました。まだ起こっていないことは一旦置いておこう、心配ごとは起こった時に考えようって、話し合いながら関わってきましたね。

加藤:一緒に考えてくれるのはありがたいですね。
今井さんはたくましくて。心臓に毛が生えているような方なんですよ。笑
反対に私はノミの心臓なんです。だから一緒にいると気持ちが楽になります。

今井:たくましさは自覚してます。笑
起こっていないことは考えないですし、もし心配事があっても「なんとかなる」と思うタイプ。よく「すごい楽天家でいいね」と言われます。
加藤さんは先のことを心配する方なので、「その時考えればいいよ、いつ何が起きるかわからないんだから」と伝えています。

加藤:今は冬ですが、もう来年の酷暑や残暑をどうやって過ごすか心配してるんです。まず冬を越さなければ夏はやってこないってわかってはいるんですけどね。
今井さんは私の繊細な部分に寄り添ってくれるので、助けられています。

今井さんは、加藤さんの繊細な部分に助けられたことはありますか?

今井:すごくアンテナを張っている方ですよね。周りの微妙な変化に気づくところは見習いたいと思っています。
例えば私がヘアカラーに行ってきた次の日には、すぐに気づかれます。本当に天性の才能ですよね。

加藤:私は周りに気を配るタイプなんです。
でも、スタッフさんから「ここは親睦を深める場所じゃなくて、自立を目指す場所なんだよ」って言われて。そんなに周囲を気にしなくていいんだと、少し気が楽になりました。

支えがあるから折れずにいられる

加藤さんの繊細さと、今井さんの大らかさや安心感、そういった違いを受け入れつつ、バランスをとりながら皆さんで過ごしているのかなと思いました。ちょうど良いバランスを保つための工夫ってされていますか?

今井:不安や気になることがあれば「大丈夫だよ」と声をかけることや、話を聞くことは大切にしていますね。口に出すことで気持ちが軽くなるのかなと思っています。

加藤:軽くなりますね。私たち利用者は、スタッフさんが来てくれるのを待ってるんですよ。会って話せることが喜びなんです。
私はこれまで「一人で生きていかなければならない」運命を感じていたんですけどね。

今井:一人で頑張ろうとすると、体も心も折れちゃうことがありますよね。支える枝があれば、折れずに立っていられる。それが「一人じゃない」ということかなと思います。

加藤:私が今一番欲しいのは健康ですけど、二番目が人とのいいご縁ですね。三番目はお金。笑
ご縁によって人生は変わると思います。だから今井さんとの縁も大切にしたいですね。

今井:そうですね。いつも「この出会いも何かのご縁ね」と話しています。

「一人で頑張らなきゃ」と踏ん張っている方ってたくさんいると思います。

今井:そうですよね。一人で頑張らなくていいんです。頼るところは頼って、助け合っていいんですよと、伝えたいですね。

加藤: 私は自分のできることは自分でやるようにしていますね。

今井:それも大事なことですね。

「帰りたい」から「ここにいてもいいのかな」に

お二人の話から助け合って生きることの大切さが伝わってきました。

今井:この1年で、加藤さんに大きな変化があったんですよ。
ここに来たばかりの頃は、とにかく「帰りたい」の一点張りで。「明日にでも帰りたい」「今月中に帰る」と何度も口にしていました。
でも最近は「ここにいてもいいのかな」という言葉に変わってきたんです。

「ここにいてもいいのかな」と思ったきっかけはあったのですか?

加藤:ここに来る前の4年間、一人暮らしを頑張っていたんですけど、5年目でどうにも辛くなって、ここに来させてもらったんです。
グループホームを4〜5軒見学した中で、一番自由で安心できたのが「キノッピの家」でした。
また一人で生活することも考えたりしますけど、まだ怖い気持ちもある。実家に帰ることが夢といえば夢ですね。
今の正直な気持ちは、70%が「ここにいていいのかな」。30%が「帰りたい」という気持ちです。

今井:育った家で暮らしたいという気持ちはあって当然です。その中で「ここにいてもいい」と思ってもらえるのは、私たちスタッフにとって、本当に嬉しいことです。

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