「自分らしい暮らし」のために。
一人ひとりの思いに寄り添った個別サポートを行う「キノッピの家」には、さまざまな経歴とアツい思いを持ったスタッフがいます。
今回はサービス管理責任者の星陽子(ほしようこ)さんに、キノッピの家で働く中で変化した支援の考え方や、これからの夢についてうかがいました。
「自分のものさし」で当てはめず、相手を理解することから始めた
星さんは2024年6月に入社されたとうかがいました。この半年を振り返って、率直なお気持ちは?
星:もう本当にあっという間でしたね。四季の変化が感じられないくらいでした。まだまだ学ぶことが多いのですが、仕事の流れはだいぶ覚えました。
キノッピに来て最初に驚いたのが、共有される情報の多さです。毎日100件以上の連絡が流れてきて、それも全て利用者さんの体調やメンタル不調についてのことなんです。
「利用者さんファースト」が、見事なまでに徹底されていると感じています。
仕事に慣れるだけでも大変だったと思うのですが、そんな中で大切にしていたことはありますか?
星:利用者さんを「知りたい」という思いです。「寄り添う」というより「理解したい」という思いを大切にしていました。横に座って、話を聞くようなイメージですね。
年齢を重ねると、押し付けるつもりはなくても「自分のものさし」で相手を測ってしまうことってあると思うんです。
でも、キノッピの家で働き始めてから「自分のものさしは確実ではない」と気づかされました。自分のものさしに当てはめてしまっては、本人が望む支援にはならないんですよね。
だから、まずは相手の話を聞いて、その人の考えや思いを理解することから。相手を理解した上で「じゃあ、どうしていこうか?」と一緒に考えられる、フラットな関係を心がけてきました。
その相手を「理解したい」という思いはどこからくるんでしょうか?
星:利用者さんが一歩を踏み出すサポートをしたい、という思いからでしょうか。
その人がもともと持っている魅力や良さを、キノッピで引き出せたらいいなって思うんですよね。そうして自分らしい暮らしへの一歩を踏み出してほしい。
そのきっかけが「相手を知る」ことじゃないかなと思っています。
一人も置き去りにしないために。「アンテナ」を張り、背景を想像する
利用者さんの「自分らしさ」に触れられた、引き出せたと感じた出来事はありますか?
星:まだ半年なので、実感を伴う出来事というより、「現在進行形」なのですが……利用者さんが喜んでくれたり、「ありがとう」と言ってくれたり、自分の気持ちを表現してくれると嬉しくなりますね。
もっと信頼関係を築いて、安心してもらえる存在になりたいです。
仕事はチームで動いていて、それぞれの担当があるのですが、いつも念頭に置いているのは「一人も置き去りにしたくない」という思いです。
利用者さんに関する情報は必ずキャッチして、気になる動きがあればできる限り顔を見に行きます。
身体は1つしかないので、全てを回ることは叶わないのですが、その分アンテナだけは広く張っていようと意識していますね。
そんな思いで関わってくれる人がいるって、幸せだと思います。
星:見た目が元気でも何かを抱えているのは、障害のあるなしに関係なく、誰もが同じですよね。自分の感情を抑えて、我慢することもあると思います。
だから利用者さんが表出できない感情や背景も想像して、「もしかして〇〇さん、今辛い状況かも」と思ったら、会いに行くようにしています。
相手の話を聞く、背景を想像するって、人との関わりの本質ですね。
星:本当にそう思います。
福祉の仕事って「別世界」の話ではないんですよね。日常の中で、利用者さんにとって必要なことを少しだけ手助けしている感覚で働いています。
利用者もスタッフも、一緒に幸せになれる場所がここにある
これからキノッピで「こんなことができたらいいな」という夢や展望はありますか?
星:キノッピと縁した人、利用者さんには夢を実現してほしいと思っています。
利用者さんの中には「カゴの中の鳥」にならざるを得なかった方も、カゴの中から出たけれど、さまざま事情で戻ってしまった方もいます。
過去の経験から自信を失ってしまった利用者さんが、キノッピに来たことで、「自分はこのままで十分なんだ」と思ってくれたら嬉しいですよね。
ありのままの自分に自信を持って、自分らしい人生への一歩を踏み出してほしいですね。
そのためには「サポートを受けることを遠慮しないで」と伝えたいです。私たちも「配慮」はしますが「遠慮」はしません。色んな人との関わりを通じて、今まで気がつかなかった自分の良さを見つけてほしいと思います。
100人いたら100通りの生き方があります。その選択に「間違い」はありません。だから自分が望む人生を送ってほしいと、心から思います。
「キノッピの家」にいると「支援者」と「非支援者」のような関係ではなく、スタッフも利用者も「みんなで一緒に幸せになろう」という共有の思いを感じます。星さん自身が望む人生や幸せとはどんなものでしょうか?
星:できる限りここで長く働きたいですね。「キノッピに来たから一歩踏み出せた」という利用者さんの喜びは、私の喜びです。まるで家族のことのように嬉しいんですよね。
それから私、実は58歳でキノッピに入社したんです。「もう定年を考える年齢だし、自分を使ってくれる所ってあるのかな」と不安だったのですが、面接で会長と社長が「全然働けますよ!」と言ってくれて。その言葉にとても励まされました。
実際キノッピには、多くのシニアの方がスタッフとして活躍しています。私より年上の方々が生き生きと働いている姿を見て、「こんな生き方をしたいな」って思うんですよね。経験豊富で、常に利用者さんのことを考えて、バリバリ働くスタッフの皆さんを心から尊敬しています。
だから、この仕事を続けられるのが私の幸せですね。
キノッピは「これからも元気で働きたい」と思わせてくれる場所。
このホームページをご覧の皆さんにも、年齢で何かを諦めずに「一緒に頑張ろうよ」って言ってくれる場がここにあると、伝えたいですね。