全国に広がるキノッピ・グループホーム経営の輪<第1弾>

  • インタビュー

障がい者福祉の課題解決には、一社だけの力では限界があります。だからこそ私たちは、志ある仲間を全国に増やすべく、兼業社会起業家を育てる【障がい者グループホーム経営サロン】を立ち上げました。福祉に想いを持ちながらも一歩を踏み出せなかった方々が、グループホーム開業というかたちで地域に貢献し始めています。
今回は、そんなサロンの仲間である3名の社会起業家にインタビューし、それぞれの想いと実践をご紹介します。

グループホームやまがた BASE 福井さん「未知へのチャレンジ。山形で新たな福祉の潮流をつくる」

今回登場いただくのは、山形県山形市で「グループホームやまがた BASE」を運営している、HOLO  BASE(ホロベース)合同会社の代表・福井さん。当社の代表・紀(きの)との出会いから開業までの道のり、グループホーム経営で大切にしている考え方、そしてこれからの夢についてうかがいました。

【プロフィール】
HOLO BASE合同会社
代表社員 福井 高寛(ふくい たかひろ)さん

東京都出身。転勤を機に山形市に移住。会社員として働きながら、21年2月紀による開業サポートを受け、2022年6月に山形市で障がい者グループホーム事業をスタート。2025年3月現在、山形市内で6棟のグループホームを運営している。
https://holo-base.com

はじまりは「困りごとがあるなら解決したい」という思い

まずは紀との出会いから教えてください。

友人から紀さんのセミナーの話を聞いたことがきっかけでした。「障がい者グループホーム事業にはこんなシナジー効果がある」というセミナーだと聞いて。
行く前から直感で「ビビッと」きたんですよね。
友人に頼んで紀さんを紹介してもらい、コンサルティングをお願いしました。セミナーももちろん受けましたよ。笑

「ビビッと」きたのは、特にどんな部分だったのでしょうか?

その頃は会社員だったのですが、働き方を模索していた時期でした。心の奥に「自分でビジネスの潮流を作りたい」という思いがあったんですよね。そんな時に紀さんと出会って。
障がい者グループホーム事業には、自分で1から考えずとも、ある程度確立されたビジネスモデルがあると知り、「だったらやってみよう!」と動きました。

では、もともと福祉分野での起業を考えていたわけではなかったのですね。

そうですね。ただし私の前職は製薬会社勤務なので、「困っている人を助ける」という側面ではリンクする部分があると感じました。

起業までの具体的なプロセスはどのように歩まれたのでしょう。

紀さんのコンサルティングに助けられた部分は本当に大きかったですね。最初は書籍や動画など、さまざまな資料に目を通したのですが、あまりピンとこなくて。紀さんの考え方には共感できるところがたくさんあったので、実践しやすかったのだと思います。
紀さんはいつも多岐にわたる選択肢を提示した上で「自分はこう思う」と投げかけ、考える機会を与えてくれました。
自分自身で踏み出せるような声かけをたくさんしていただきましたね。

初めて取り組まれる「福祉」についてはどう捉えていましたか?

最初はまったく未知の領域でした。
でも、困っている人がいるのであれば、その困りごとをどう解決するか。「解決する」ことを考えるのは、どの仕事でも同じだと思います。
福祉に対して特別な思いがあったというより、「困っている人がいるなら解決したい」という気持ちでしたね。

「人生を変える」気負いは持たなくていい

実際に事業を始められて、これまでの仕事との違いは感じますか?

これほど人の人生に関わる仕事ってなかなかないですよね。
「生活に関わる」という点が、これまでの仕事と大きく違う点だと思います。
でも、人の人生に関わる仕事だからといって「自分がその人の人生を変えるんだ!」という気負いは持たなくていい、とも思っているんです。
まずは、利用者さんが困ったときにサポートする。生活が維持できるよう支えていく。そして、利用者さん自身が夢や目標を持ったときに、一緒に歩み出せばいいと思います。

創業から約2年半とのことですが、これまで一番大変だったのはいつでしょう?

福井:最初の2年間ですね。ダブルワークだったので、休みなく走ってきました。この事業にやりがいを感じ始めていたので、早く軌道にのせることに尽力しましたね。
その結果、2年で5棟のグループホームを開所することができました。
1棟目が無事に開所して、利用者さんが集まった時はホッとしました。22年11月に2棟目ができたときは、経営面でも安定してきて心が軽くなりました。

棟数が増えるほど関わる人も増えて、その分経営者としての苦労も増すのではと思うのですが。実際はどうですか?

たしかに規模が大きくなるほど仲間が必要になりますが、良い仲間がそろえば同じ思いで仕事ができるので、むしろ楽になっています。

チームを作る上で気をつけていることはありますか?

コミュニケーションの齟齬ってどうしても避けられないと思っています。だから齟齬が「ある」前提のもとで、誰かが良い・悪いと一方的な判断をしないこと。リーダーである自分自身にも反省すべき点がある、という意識を持つことを心がけています。
スタッフと日々反省、改善しながら一緒にチームを作り上げていますね。

福祉分野は初めての領域ですから、自分より知識や経験のあるスタッフもいます。
だからこそ、世話人としての掃除や食事提供といった業務は「マニュアル通りに」と伝えています。各々で違うやり方をしてしまうと「誰々さんはこうしてるのに」といった不安や不満が生まれてしまうからです。

どのスタッフでも同じサービスを提供することが大切だと考えています。

山形市の福祉をリードする存在として。学びあいながら成長していく

仕事で喜びを感じるのはどんな時でしょうか?

福井:利用者さんが元気で、いろんな話をしてくれる時ですね。過去に辛い経験をした方もいらっしゃるので、日常を元気に過ごしている姿を見るだけで嬉しく思います。
ご家族から感謝の言葉をいただくことも多く、やりがいにつながっています。

毎日本当にいろんなことが起こるのですが、トラブルも含めて「経験させてもらってありがとうございます」という気持ちが大きいですね。
さまざまな人間模様が見えて、貴重な体験をさせてもらっているなと思います。もともと楽観的な性格ですし、会社員時代から「何かあればその時考えて、対処したらいい」という考えだったので、トラブルも前向きに捉えられているのかもしれませんね。

福祉の仕事では、パーソナルな部分に触れることも多いかと思います。福井さんが考える「福祉の魅力」はどんなところですか?

紀さんもよくおっしゃっていましたが、「福祉はどこまでいっても人」です。人間力が試され、養われるところが魅力だと思います。
利用者さんと接していると、気付かされることが多いんです。「食べた後の食器は片付けておいてよ」と言いながら、「自分もできていないよな」とか。苦笑
利用者さんとのやりとりから、日々学ばせてもらっています。

「キノッピの家」のスタッフからも「学んでいるのは自分たち」という声をよく聞きます。

支援する側、される側というような上下関係は、歪みを生みますよね。
「対等である」という考えを持つことは、どんな仕事であっても大切だと思います。
例えば会社員であっても、雇う会社が偉いわけではなく、働く側にも会社を選ぶ権利があります。それは利用者さんとの関係でも同様です。
もし利用者さんが「HOLO BASEは合わない」と感じたら、他の場所を一緒に探しますし、その人にとってより良い環境があれば提案もしています。

最後に、今後の夢を教えてください。

山形市の福祉の充実に貢献し、障がいがあって生活の場に困っている人をなくすことです。そして、HOLO BASEが山形市のグループホーム事業をリードする存在になることが直近の夢です。
この事業を通して、失敗から学び、成長することの大切さを学びました。
もしグループホーム事業を検討している方がいたら、ぜひ失敗を恐れずチャレンジしてみて、と伝えたいですね。  

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