【代表インタビュー①】地域コミュニティと連携し、福祉に新たな可能性を創り出す

  • インタビュー

「障がいがあっても住まいを選べる世の中をつくる。」を理念に掲げ、障がい者向け個別サポート付き住宅(サポ住®)「キノッピの家」の運営を行うGOOD LIFE HOLDINGS株式会社※。2020年に1号棟を開設し、現在では茨城県内で16拠点を構えています。

2024年3月には新たな事業として『KINOPPI CAFÉ』をスタート。365日、好きな日を選んで通える「障がい者向けコワーキングスペース」としてフレキシブルな働き方を提供しています。

規模拡大を続けてきたGOOD LIFE HOLDINGS株式会社の特徴は、「地域を巻き込む」地域コミュティ支援型モデル。「利用者だけでなく働く側もハッピーになれる」そのスタイルの特徴と、事業への想いとは?代表・紀(きの)に話をききました。

※GOOD LIFE HOLDINGS 株式会社はキノッピの家、KINOPPI CAFEの運営会社です。

「キノッピの家」から地域との接点を生み出す

–まずは「キノッピの家」とはどんな事業なのか、簡単に教えていただけますか。

紀:キノッピの家は、国が定める障害福祉サービスの共同生活援助、いわゆる「障害者グループホーム」です。地域にある既存の一般住宅を活用し、住まいの提供と個別支援を行っています。

主な対象は、症状が比較的軽度な精神障害や知的障害のある方。おおむね自立して生活できるけれど、スポット的に家事支援や金銭管理のサポート、通院同行が必要な方々をサポートしています。

施設ではない一般住宅でも福祉サービスが提供できるのですね。

紀:はい、可能なんですよ。

そもそも障害者グループホームとは、障害のある方が施設や病院ではなく、「地域で」自立した生活を実現するためのサービスです。

「障害者」と聞くとメディア等でセンセーショナルに取り上げられるイメージが先行する方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際は「少しのサポートさえあれば日常生活や社会生活が送れる」という方々がほとんど。そして、そのような方のための福祉サービスが不足しているのが現状なのです。

「キノッピの家」では障害のある方が地域で暮らせるよう、一人ひとりに合った「個別サポート」に取り組んでいます。

大切なのは「やさしさ」。メインスタッフは地域に住む方々

「キノッピの家」で働く人たちの特徴は?

紀:当社には150名以上のスタッフが在籍しているのですが、その多くが福祉系の資格を持たない、地域に住む方々です。それでも十分な支援を提供できていると自負しています。

主な業務は、家事支援や、利用者さんが1人ではできないことへのサポート。医療や介護の高度な知識や技術を活かすよりも「やさしい気持ち」で接することのほうが、当社の目指す支援に適しているのです。

自分のサポートによって利用者さんの生活が安定したり成長したりすることに、楽しさややりがいを感じているスタッフが多くいます。

スタッフの年齢層はどのくらいなのでしょう?

紀:日中は60代、70代のシニア層が主力です。子育てを終えて時間ができ「経験を活かしたい」と力を貸してくださる方が多いですね。現役世代でもスキマ時間を利用して働く方や、副業として夜間に働く方もいらっしゃいますよ。

自分の体力や状況に応じて、無理のないペースで続けられる環境を大事にしています。

地域の方が支援に入ることで生まれた変化はありますか?

紀:地域に拠点を作ることに対しての反発が少なくなったように思います。「キノッピの家」は茨城県に16拠点あり、それぞれ地域に住む方々が働いています。関係者が増えたことでスムーズに規模を拡大できたのは、創業当初からの大きな変化だと考えています。

社会への違和感から生まれた「個」へのこだわり

グループホームから活動を広げ、就労支援事業所『KINOPPI CAFÉ』を始めたのはなぜでしょう?

紀:全ての福祉サービスが「地域巻き込み型」で運営できれば、障害のある方々を支える場所をもっと増やせると思ったからです。

さらに、就労支援事業所の新しいモデルケースになると考えました。

『KINOPPI CAFÉ』は就労継続支援B型の事業所ですが、「生産性を重視するあまり単純作業の繰り返しになる」事態を避けるため、仕事のバリエーションを増やし、複数から選べる仕組みを整えています。

また、経営的には、週5日通所する利用者さんが多い方が利益は上がるのですが、それは「障害者ファースト」ではないと考えています。週5日通えない人でも好きな曜日に通えるようにしたいと、営業日数を365日に広げることで経営を支えるチャレンジをしています。

他の事業所では通い続けることが難しかった方々が、『KINOPPI CAFÉ』には通えるようになる成功例が開所から半年で出ており、大変嬉しく思っています。

紀さんはとことん「個人に寄り添った支援」を追求されているのだなと感じました。何かきっかけがあったのでしょうか?

紀:実はこの事業を始める前から、日本の社会に対する息苦しさを感じていました。特に高度経済成長期前後は、「人が社会に合わせる」ことで経済成長を支えてきた面があると思います。

しかし、それは間違っているのではないかと。「社会が人に合わせる」べきで、逆ではないか、と強く感じていました。

その後障害福祉に取り組む中で、私の憤り以上の苦しみを、障害のある方々やそのご家族が抱えていることを知りました。サービス業出身の私の信念は「サービスはサービスを使う人が選択すべき」。だから個別サポートを一番大切にしているんです。

利用者も支援者も幸せになれるモデルを目指して

 サービス利用者に寄り添うあまり、スタッフが疲弊してしまうことも考えられるのですが。無理なく事業を継続するために、どのような工夫をされていますか?

紀:地域にいる「何かしたい」と思っているけれど実現できずにいる方々に参画してもらうことです。特に高齢者の方々ですね。福祉業界は20代から50代の知見やスキルのある人たちがフルタイムで働くことが一般的ですが、それだと働く側の負担が大きいんです。

そこで当社では、「パートタイムでもOK、スキルは教えれば身につくので、まずはトライしてほしい」と伝えています。たくさんの地域の方々に参画してもらい、利用者もスタッフもWIN-WINの関係を築くことを目指しています。

働く人が増えることで、管理の複雑さやトラブルが懸念されますが、どのように対処しているのでしょうか。

紀:スタッフ一人ひとりの責任感で現場が守られているのが当社の強みですので、管理は最小限に抑えています。業務の自由度が高まり、自分のアイデアで支援をカスタマイズできる面白さが生まれ、「やらされ仕事」ではなくなるんですよね。

さらに、毎週の話し合いや、LINEでのタイムリーな相談など「話し合いの文化」を大切にしています。介護や医療業界から転職してきたスタッフは「話し合いができる時間があるのが幸せ」と伝えてくれます。

コミュニケーションを通して自らの思いやりを届けられるこの仕事は、社会貢献や自己肯定、やりがいなど、金銭以上の喜びがあるのだと、スタッフを見て感じています。

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